各国のエネルギー輸出依存度グラフを読み解く


日本をはじめ、世界の主要国の大部分は自国で消費するエネルギーの大部分を輸入に頼っています。では、実際に主要国はエネルギーのどの程度の割合を輸出入に頼っているのでしょうか。
各国のエネルギー輸出・輸入の割合をグラフから読み解いて見ましょう。

主要国のほとんどは輸入に頼るエネルギー事情

エネルギー事情は安定した国家運営の根幹となるため、様々な主体が様々な方法で調査・集計したデータを定期的に発表しています。今回は、電気事業連合会が公開している原子力・エネルギー図面集の2013年版(http://www.fepc.or.jp/library/pamphlet/zumenshu/)から、原子力を除いた値を引用して見ましょう。

  • 日本…95%
  • アメリカ…25%
  • カナダ…マイナス57%
  • イギリス…48%
  • フランス…91%
  • ドイツ…69%
  • イタリア…80%
  • ロシア…マイナス70%

と、国ごと・地域ごとに大きくばらついているのがわかります。特に注目したいのが主要国の中でもカナダ・ロシアが資源輸出をおこなっていることです。
また、アメリカも極めて低い輸出割合にとどまっていることがわかります。

国ごとのエネルギー輸出入の内容とは?

主要国の大まかなエネルギー輸出入の割合を把握したところで、国ごとの詳細を見てみましょう。各国のエネルギー輸出入を大きく左右している要素の1つとして注目したいのが、原子力発電に積極的かどうかという点です。ヨーロッパ圏は1986年のチェルノブイリ原子力発電所事故をきっかけとして、従来から脱原発の傾向がありました。この傾向は2011年の東日本大震災と福島第一原発事故により更に加速し、明確に脱原発・再生可能エネルギーの導入の方向に動いています。この動きの急先鋒となっているのがドイツ・イタリアです。

脱原発を実現したイタリア・まい進するドイツ

イタリアは1990年までに国内全ての原子力発電プラントを廃止、脱原発を達成しました。しかし総発電量の7割を占める火力発電の燃料費のため高止まりしている電力料金や、周辺国から大量の電力を購入していることによる電力供給不安など、様々な問題も表面化しています。
ドイツは脱原発の急先鋒として、国内の原子力発電プラントの全廃や再生可能エネルギーの積極的な導入、周辺諸国からの電力購入を進めることで、2020年ごろの脱原発を実現を目指しています。
特に再生可能エネルギーの積極的な導入はエネルギー供給に占める割合を大きく伸ばすことに貢献し、2015年時点で総発電量の約3割を再生可能エネルギーが占めるまでに拡大しました。

原発を維持・拡大するフランス

イタリア・ドイツとは反対に、積極的な原発推進を進めているのがドイツの隣国フランスであり、エネルギー需要の8割を原子力発電によってまかなっています。
このきっかけとなったのは、日本と同様に1970年代のオイルショックであり、脱石油・省エネを進めた日本に対して、エネルギー自給に重点を置いたフランスでは脱石油・原子力発電の積極導入に舵を切りました。このような方向性の違いが生じた原因として、フランスはアンリ・ベクレルやキュリー夫妻をはじめ、初期の核科学で著名な人物を多数排出していたことや、原子力発電を導入することでどのようなリターンとリスクがあるのかを徹底的に議論するリスクコミュニケーションに成功したことなどがあげられます。
特にリスクコミュニケーションの成功は原子力発電の積極導入に大きな役割を果たし、2011年の福島第一原発事故が起こるまでは国民の6割が原子力発電の導入に積極的との調査結果もあります。

おわりに

ここまで、エネルギー政策とエネルギー受給の関係を主にヨーロッパ各国に絞って見てきましたが、各国独自の考えかたがあり、そのリスクとリターンをキチンと受け取っていることがわかります。
2011年の東日本大震災と福島第一原発事故により、急激に脱原発に舵を切った日本ですが、その過程で十分な議論が尽くされたとは言いにくく、今後も活発な討論が期待されます。