期待されているメタンハイドレートと今後の可能性


エネルギーのほとんどを輸入に頼る日本ですが、自給できるエネルギーとして「メタンハイドレード」がにわかに注目を集めています。「燃える氷」とも呼ばれるメタンハイドレードはどのようなものであり、その可能性はどのようなものなのでしょうか。

将来有望な資源として注目を集める「メタンハイドレード」

メタンハイドレートとは、深海底の低温・高圧の条件下でメタン分子が水分子に囲まれて結晶化した固体であり、堆積物に固着する形で海底の埋蔵が確認されています。
メタンは石炭・石油と同様に化石燃料の一種ですが、従来の化石燃料と比べると燃焼したときに発生する二酸化炭素量がおよそ半分にとどまり、有望な新エネルギー源の1つにも数えられています。

100年分の埋蔵量が確認されているメタンハイドレード

資源埋蔵量は調査方法・需要により異なるため一概には言えませんが、日本の周辺海域ではこれまでの常識をくつがえす豊富な埋蔵量があることが確認されています。
1996年時点で日本周辺に限っても天然ガス換算で96年分(7.35兆立方メートル)の埋蔵量があると推定され、2010年代に入ると日本の周辺諸国でも次々と膨大な埋蔵量が確認され、各国とも採掘の可能性を積極的に探っています。

開発途上の商業化技術とその課題

有望な新エネルギー源として注目を集めているメタンハイドレードですが、1990年代から調査・試掘が続けられているものの、4半世紀が経過した2010年代に入っても安定した採掘・供給技術の確立には至っていません。

資源採掘のキーとなるのは探査・採掘・輸送の3つですが、このうち大きくつまづいているのが採掘技術の確立です。
採掘時に地層を加熱することで温度上昇をうながし、メタンハイドレードを溶解・回収する「加熱法」が検討されていましたが、この方法では一定量のメタンを回収するために大きな熱量を投入する必要があり、エネルギー公立の面で大きく劣るものでした。
そこで近年注目されている採掘方法が、メタンハイドレードの存在する地表の圧力を低下させることで溶解をうながして回収する「減圧法」です。しかしこの減圧法も減圧によって周辺海底の土砂が崩壊し、メタン回収パイプが目詰まりするという難問を抱えています。

加熱法・減圧法の他にも、安定した採掘を実現するための様々な手法が提案・開発されていますが、いずれも解決しなければならない問題がいくつもあるため、現在でも安定した採掘技術の確立には至っていません。

メタンハイドレード商業化のための課題とは

従来の化石燃料に替わるエネルギー源として注目を集めるメタンハイドレードですが、商業化に当たってコストパフォーマンスと環境問題という解決するべき問題を抱えています。

4半世紀に渡って試掘が続いているメタンハイドレードですが、500億円を投じたものの採掘技術の確立には至らず、現在でも巨額の費用を費やしての開発が続けられています。
また、現在確立されている採掘技術では投入したエネルギー以上のメタンハイドレードの採掘が難しいとの意見もあり、より効率的な技術開発のために更なる費用が求められています。

コストパフォーマンスと合わせて重大な問題の1つが、メタンガスによる地球温暖化です。
従来の化石燃料と比べると排出する二酸化炭素量は半減するものの、燃焼によって生じるメタンガスは二酸化炭素の20倍の温室効果を持つため、商業化が軌道に乗ることで地球温暖化を促進する可能性があります。

おわりに

膨大な埋蔵量が確認されていることから将来有望と見られているメタンハイドレードですが、4半世紀を掛けた技術開発でも安定した採掘技術の確立に至らないなど、実用化に向けた道は今もなお険しいものがあります。
今後の商業化の是非も含めて、再検討が必要な時期に差し掛かっているのかもしれません。