世界に輸出される日本の発電技術


世界規模で進むIT・コモディティ化の波に乗り遅れつつあるものの、日本企業が有する技術力は現在でも世界有数のものとして注目されています。縮小する国内市場に見切りをつけて、技術力を活かした大規模インフラの輸出が官民をあげて進められていますが、その中には最高峰の環境規制をクリアしている発電技術も含まれています。世界に輸出される日本の発電技術と、その内容を見てみましょう。

欧米・中韓に苦戦を強いられているインフラ輸出

都市部を中心にほぼ国土開発の完了した日本と異なり、世界のインフラ需要は新興国を中心として未だに極めて旺盛です。インフラ整備は構築が終わったあとのメンテナンスも含めて、極めて大きな利益が期待できる輸出項目です。そのため先進国を中心として激しい輸出競争が展開されていますが、日本は大きく出遅れ、欧米や中国・韓国等の競合企業に大きく水をあけられました。今後は官民連携によりインフラシステム輸出戦略5本柱を設定、現状で10兆円規模に留まる日本のインフラ輸出を2020年までに30兆円まで拡大することを目指しています。インフラ輸出の中でも特に注力されているのが、今後も安定しておう盛な需要が期待できる発電所輸出であり、石炭火力と原子力が注目されています。

ASEAN・東南アジアを中心とする石炭火力の輸出

燃料源として良質な石炭を算出する東南アジア圏では、電源開発の中心を石炭火力が占め、今後の高い経済成長率が予想されることから、環境に優しく経済性の高いベース電源が求められています。そのため、世界有数の環境・運転技術を持ち、高い運転効率が期待できる日本の石炭火力の有望な輸出先として期待されています。インフラシステム輸出戦略5本柱では、ASEAN・東南アジア圏は「絶対に失えない、負けられない市場」と定義。
技術のみならず金融・制度面でもバックアップする体制を構築、大きなシェアを握ることを目指しています。実際にインドやベトナムに対して運用や保守点検などのアフターケアまで含めたプラットフォームとしての輸出に成功するなど、ある程度の成果を出しはじめています。

今後の輸出動向が心配される原子力発電の輸出

エネルギーの99.7%を輸入に頼る日本では、エネルギー自給を実現するための手段として原子力発電が重視されていました。従来のエネルギーミックスは火力・原子力の2本柱に水力などの再生可能エネルギーを上乗せして構成され、プラントの輸出を目指して国内企業による海外企業の買収・合併も活発でした。しかし、2011年の福島第一原発事故により国内の全原子力発電が停止。あわせて日本製の原子力発電プラントの安全性に疑問が呈されることとなります。
それでも建設から廃棄まで巨額の利益が期待できることから、国内のほとんどの原子力発電プラントが停止している現在でも、インフラとして輸出を進める方針は維持されています。
原子力発電プラントの輸出方針を維持する根拠として、福島第一原発事故は津波による付随設備の冠水がまねいた停電が原因であり、輸出先を慎重に選ぶことで同様の事故を防げることがあげられています。
実際にベトナムなど輸出が決定するなど、輸出契約は着々と結ばれています。

おわりに

高い技術力から成果が期待される日本のインフラ輸出ですが、既に先行している欧米や中韓の圧倒的なシェアに苦戦を強いられ、思うように進んでいません。
今後も、官民をあげてのバックアップ体制をはじめとする積極的な輸出攻勢は欠かせないと言えるでしょう。